[あとがき]
ネットゲームといえど 人の絆が形作られることは
なんら現実世界のものとかわりはありません
MMOである限り、そんなに楽しいことばかりではないというのは当たり前です。
起こり得るすべての事柄は その世界の違いその器の違いで感じ方は変わるでしょう
また 各個人の考え方や尺度の違いでも 我々が「現実」と呼ぶ世界と比べて大きく変化します
起こるすべてのことに大した違いがあるわけではないのです
ただ 個人でその重要度や形式が変わるに過ぎないのです
今回の話は今までのものと違い
この小説を上げるかどうかは迷いました
執筆にもかなり苦労したのですが 話の内容というより
「どう形にするか」 という点でかなりの精神的労力をはらいました
今までと違い かなり暗い話ですし
物語の描写自体も物語的な流れのあるものでもないです
執筆自体も いつもの遅筆ぶり以上に時間がかかりましたし
これを公開するかどうかにも 迷いました
こういう話は読みたくないと思う人も居るでしょうし
なんだ ただの鬱い話じゃねか面白くないと思う人も居るでしょう
しかし ゲームであろうが人とのつながりが生まれるこの世界では
これもまた 現実のひとつです
できれば直視して頂きたい
はっきりと言い切っておきます
救いはありません この話の主人公である「彼女」には
プリーストからの視点での話も用意はしてあります
そこには少しの救いのような描写もあります
ですが 結局彼女は救われもしてないし
救われる道があったとしても それを選べはしなかったでしょう
彼女は救われません
彼女が死した今 他人が何をしようと
結局他人の自己満足で 「救われた」 と思い込もうとするためのものです
それは彼女への救いではなく 自分への救いなのです
その救いは プリースト 彼自身のものではないでしょうか
この部分は少し 失った人への悲しみを拭う人間に似ていますかね
救われない話なんて と思う方も多いでしょうけど
これも、現実の側面です
ある意味、一番書き易く。 ある意味、一番書き難く。
一番表に出したくない けれど表に出したい作品でした
完成に一年近く
書いて、立ち止まって、書いて、陥って、書いて、欠いて、また立ち止まって、陥って
今までの作品(おいかけっこ、珈琲、一輪の花)は 完全に陽の作品です
そしてこれは陰
あえてというか こう書いていたのか
ことは起こった後のことを舞台を中心にしています
当初 この作品に作者後書きをつけるつもりはありませんでした
単にネットでの関係 ネットゲームでの関係も一つの縮小社会
この作品のようなことも起こる 珍しいことではない
それで済まそうかと思っていました
彼女は死を選びます
その死を他人に委ねて
ただの自殺話と受け取られる方も居られるかと思います
ですが、この選択もまた、真剣な選択として私は書いたつもりです
死が我々の生きる世界よりずっと身近であろう世界
それが選択肢にあがっても当然と考えました
かなり読みにくい形式だったと推察します
感情や雰囲気 心のまとうものを書いたという感じですから
それに彼女の視点で表した心は 読んで感じることが困難だったでしょう
支離滅裂として混沌 しかしそれがひとのこころだと思います 私は
最後まで読んでくださった方 まだ全て読まれてはいない方 途中で止めてしまった方
願わくは 何か心に触れるものがあり 考えることもあれば 幸いです
私は悲嘆だけを刻むつもりはなかったのですから
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