『Cafe Pheruea』
商人が立てた簡素なカフェだが、常連も居付くくらいの人気店だ。
街の貯水池周辺に立てているので、丁度涼しくていい。
俺も何度かここに来ては、適当に何か飲んで暇を潰していたりする。
今日モロクにきたのも、ここで暇潰しをするつもりだった。
さてそのつもりだったが、何をしているかというと

コーヒーを飲みながら苦言を聞き流している。 
「お前も大司教候補の一人と言われてたんだ
俺も同期の中では1、2を争う能力だろうと自負していたが・・・」
ここで口を閉じ、ふぅというまた軽いため息。
どうやら、アコ時代に法力試験で敵わなかったのが今でもショックらしい。
しっかしお前、ため息多いぞ。
そんな事を思ったのが筒抜けではなかっただろうが、少なからず俺の不謹慎さを感じたのだろう。
また、ため息吐きやがった。
状況を改めるように手を組み替え、視線に力を込めてまた話し出す。
「逆立ちしようがどうしようが、お前には生涯勝てないだろうと思った
それは俺だけでなく、多くのアコライト、・・・当時のプリーストですらそう思った者も居るだろう
真面目にやっていれば、将来枢機卿ですらなれただろうに」
「まっさか、それは流石にヨイショしすぎだろ」
「私は本気でそう思っていたぞ?」
「お前は俺を買被りすぎなんだよ」
どうもこいつは隠れナル(ナルシスト)の気があるからな。
自分より上=相当の天才 という構図が出来上がってるらしい。
「しかし・・・、大司教になれることはほぼ確実だったろうに」
「別に。俺はそういう肩書きに興味ねぇよ
司祭やってんのも技能重視で選んだだけさ、回復系は便利だしな」
「技能・・・。曲りなりにも神より賜った秘蹟だろう」
アコライトなりプリーストなり、俺らの使う力は秘蹟と呼ばれる。
傷を癒したり、身体能力を一時的に向上させたり、神に仇名す魔や命亡き者を浄化したり。
程度やら効果やらの違いは使う側それぞれであるが、全て『神への信仰』よりもたらされるものとされている。
神様の力なんだと。

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