掌にのせる。
縁に軽く指をかけて落ちないようにして。
「これでもし、また受け入れてくれるようなら」
「甘えてしまう、頼ってしまう、求めすぎてしまう・・・」
「だから・・・、もうダメです」
言葉が、切れ切れになってしまう。
楽園の残滓に絡め取られて、くじけてしまいそうになるから。
言葉を発するにも、その度に、それを抑える時間を必要としてしまう。
「次は、無いんです
次が、最後を導く気がするから・・・ もう戻れません
戻ってしまえば、そのときはあの場所を壊してしまうだけだろうから」
その言葉を受けて、私に帰ってきたものは、複雑な表情と、僅かに動く唇。
必死に言葉を発しようと、なにか言葉をかけようとしているのがわかる。
今言葉になっていないのはきっと、うまく言葉にするだけの言葉にならないんだろう。
言葉にならなくても私に意思は伝わった、どのようなことが言いたいのか。
「諦めたとか、そういうんじゃないんです」
自分を確認するように、両手を開いて、握る。
冷たい空気を少しずつゆっくりと吸いながら、顔を上げる。
「ひとりで・・・ もう、ひとりでいるんだって、決めたから」
誰にも頼らないと、決めたから。
誰かに頼ってしまう私に別れを告げると、決めたから。
「貴方とお話できて本当によかったです
ほんとうの決心が、つきましたから。」
「わたしは誰にも頼らない、そのための選択です
だから」
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