息を止め、ドアを少し開けて中の様子をうかがう。
空けた隙間から、大量の煙が流れ出していった。比例して臭いも増す。
鼻が曲がるほど、というたとえがあるが、本当に曲がってねじ切れてしまいそうだ・・・。
そのまま部屋に入ってみるが、煙が立ち込めていてよくわからない。
うぅ、目が痛くなってきた。
ぐるりと見回すと、左の方が明るくなってるのが分かった。
そちらに走っていくと、大きなガラス戸から陽光が差し込んでる。
そのまま走りこんで急いで戸を開ける。
周囲の煙が、群がることが出来ずに空中に散っていく。
戸の先にはテラスがあり、この臭いと目の痛みに参っていた私は滑り込むように外に出た。
入れ替わるように、一気に外の清浄な空気が部屋の中を駆け回り、煙を追いやっていった。
ぜぇぜぇ・・・。
そのまま膝を折って座り込んでしまった。
ここに誰か人が居たなら、驚いて救急車を呼ぶくらいの荒い呼吸をして、なんとか持ち直そうとする。
息を止めていたのと、限界以上の加速で走ったためで、半ば酸欠のようになっている。
ふぅ・・・。
呼吸もだいぶ落ち着いて、顔を上げて外の手すりの間から覗き込む。
風車、白色の建物・・・アルデバランの街並みが見える。
時計塔のだいぶ高い位置に、このテラスはあるようだった。
そういえば、あの咳き込むような声は?
煙のことで必死になっていて、部屋に入ってからは完全に忘れ去られていた、部屋への進入の原因を思い出す。
煙は部屋から吐き出されたが、ちゃんと聴いていると、咳き込むような声は相変わらず続いていた。
部屋のほうに振り向くと、長机の下で縮まって咳き込んでいる、涙目のアルケミストが居た。
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