「大体さー、大司教なら最有力候補のあいつが居るじゃねぇか
真面目っぽかったし、あいつに任しとけば俺なんていらねーって」
そう言ってひらひらと投げやりに手を振ってみせる。
「・・・異端者として追われているよ」
「は?」
「あいつは教会を抜けた
それだけでなく・・・教皇を殺害しようとした」
驚いた。あいつは根が生真面目だから、ずっと司祭やってるもんだと思ってた。
まさか教会を抜けたどころでなく、歯向かうなんておもろいことをしでかすとは。
全く世の中どうなるかわからんもんだ。
ってゆかあれか?普段物静かな奴ほどキレたら何するかわからんってやつか。
ま、教会の陰を見りゃあ失望もするわな。喋りよう見てると、教皇も面の皮が厚そうなのがようわかるわ。
クッキーを頬張りながら、つい本音が出る。
「あんな腐れ教皇、別にどうなってもええんでない?
というか後釜狙って色々しでかす奴も内部に多いだろうし」
「おい、滅多なことは言わない方がいい。・・・お前も消されたいのか?」
「消す・・・ねぇ」
「表向きの位置は何も変わっていない・・・
だが、裏では聖堂騎士が出動している
あいつを消すために暗殺者を雇ったとも聞く」
「・・・そらまた仰々しいことで」
「私にはわからんよ・・・、いくらなんでも抹殺など」
「表に出したないんだろ、自分らの不手際を世間に露呈することにもなりかねんしな」
「・・・」
あーあー、難しい顔して黙りこくっちまった。
折角の飲み物も、さっきから全く手をつけられていない。
考え込んでばっかだからな、こいつ。
もうちょっと楽に出来んもんかとも思うんだが。
少し肩をすぼめ、顔を低くして覗き込むと、眉間にしわを寄せたままテーブル
こうなったら暫くは辛気臭さオーラ大放出だ。
何も聞こえてないだろうし、居てもどうにもならんな。
コーヒーを飲みきると、席を立つ。
「上に行くなら、教会は小奇麗なだけじゃ生きてけないってことだ
お前も足元すくわれんよーにな」
聞いてるのか聞いてないのか、下を向いたまま考え込んでいるようだ。
まぁ気に掛けず、すたすたと歩いてゆく。

ちなみに、勘定はあいつに押し付けてきた。

前へ      次へ