あくびをしながら路地をぼーっと歩いていると、突然Wisが入る。
Wisとは俗称で、正式名称は忘れた。
仕組みはよく分からないが、精神的な絆を繋げて会話するだとか言霊を飛ばすだとか、
とにかく特定の相手と遠隔会話ができるのだ。
「よ、今暇?」
「あー、暇だぞ」

Wisを入れてきたのは友人だ。
こいつはあんまり喋らない。
口数自体はかなり少ないのだが、顔が喋ってるような奴なので特に意思伝達で不足することは無い。
年中笑顔の絶えない変な奴だ。
どうやら近くに居るようなので、街の入り口で待ち合わせることにする。

「んで、何処狩りに行くんだ?」
「フェイ森、虎」
「・・・は?」
「虎狩る、支援よろな」
「無茶苦茶だの・・・」
虎というのは、エドガというずんぐりとした虎の魔物だ。
殆ど熊のような図体で二足歩行、生意気にもパイプ煙草なんか吸ってやがるけったいな生き物だ。
それでもボスクラスの魔物に分類され、生半可な冒険者では一瞬でやられてしまう。
「金欠だから一発当てる」
ボスクラスの魔物は、特別な効力付きや性能の高いアイテムを保有していることが多い。
また、ボスクラスのカードはレアリティが高く、目玉の飛び出るような額で取引されることも珍しくない。
一つ手に入れば、かなりの額の金になる。
ファイアブランド狙いか。それともエドガカード狙いか。
どっちにしてもそう易々と手に入るわけが無いとは思うんだが、こいつはそういうのお構い無しだ。
この突っ走りっぷりには毎度ながら感動する。
「OK、フェイ行こうか」

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