ただ、歩いていた。 白い大地の上を。 雪の町を。 進める歩み一歩一歩のたびに、浮かんでくる記憶。 思い出が私を絡め取る。 歩みは思い出の数だけ鈍り。 しなやかなつたが絡まるように、足はもつれ。 そして私は、なにもない雪原の上に倒れた。 雪の冷たさが、私の想いを虚ろなキャンバスへにじませていく。 皆とすごしたあの日々。 とても楽しかった。 生きる理由といっても、過言ではない。 雑談だけで終わる日もあった。 狩りに行っても馬鹿なことを言い合いながら 楽しんで 笑っていた。 悩みや疲れることがあれば、相談に乗ったり乗ってもらったり。 思い出だけが熱を持ち、雪で冷えていく私の体に反比例するように 更に温かく、熱くなっていく。 私達の始まり、3年前の冬。 出逢いを彩る、空から舞い降りる白。 今日は、降っていない。 そのせいか あのときの風景を、はっきりと思い浮かべられない。 解ける雪のように、にじんで、 立ち上がって、近くのベンチに座る。 溶けた雪が、頬を伝っていった─── 流れない私のものの代わりに。 雪は、まだ降らない。